損保ジャパン日本興亜総研レポート


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2018年9月28日発行 Vol.73

  内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
掲載論文: 1. 実例で見る企業集団内部統制(下)
  2.フランスの健康保険システムの特徴
  〜公的保険と民間保険の相互依存・一体化〜
  3.米国企業による健康増進・疾病予防の取り組みに関する動向
  〜現状を象徴するトピックと日本の健康経営への示唆〜
  4. 欧米保険会社における遡及的再保険の活用と効果
  5.米国損害保険市場の動向(2017年実績)

 
実例で見る企業集団内部統制(下)(PDF1.0MB)
   
 

= 要 約 =
執筆者: 取締役 隅山 正敏

   
 

T.はじめに
下巻では、各事案における発生原因分析及び再発防止策の中から、企業集団ベースの内部統制に係る現行体制を点検・手直しする際の参考に資するポイントを抽出して紹介する。

U.子会社の管理体制
子会社の不祥事に対する最初の防波堤は、子会社自身の管理体制である。そこで不足する分を親会社が補強する「親子合算」の管理に向けて、親会社は、子会社側の体制の構築を支援するとともに、自社による補強に向けて不足分を把握しておく必要がある。

V.親会社の子会社管理体制
子会社の不祥事に対する第2の防波堤は、親会社の管理体制である。子会社管理部門に対し業績だけでなくガバナンスを含めて管理する責任を明確に負わせること、他の管理部門との協力体制を構築して会計・人事などの横串機能を発揮することが重要となる。

W.効率的な運用(環境的要因)
管理体制をリスクに応じメリハリを付け効率的に運用するためには、リスクの高い子会社を識別する必要がある。新規事業を開始する子会社、売上重視の企業風土のある子会社などである。また、親会社からの出向者とプロパー社員とが混在する子会社ではリスク要因(一体感の欠落など)の把握が重要になる。

X.実効的な運用(予兆の捕捉)
不祥事の発見に向けて管理体制を実効的に運用するためには、各事案において誰が何を発見し、あるいは見落としたのかを見ていくことが参考となる。親会社による業績の分析や内部監査、子会社の経営陣の監視が実効性の鍵を握る。また、内部通報により発覚する事案が多く、制度的な整備も課題になる。

Y.買収時点でのリスク排除
企業買収により相手企業の不正リスクを取り込んでしまう事案がある。買収する側の会社が事前に実施する審査(買収審査)において不正リスクを特定して買収後の管理に活用すること、不正の早期発見の阻害要因を認識・排除して探査活動の実効性を高めることが重要である。

Z.買収後の早期発見
買収後に被買収企業のグループへの組入れ(統合)とその経営の独立性とをどのように均衡させるかという難問がある。拙速な統合の推進は被買収会社の運営に支障を来す恐れがある一方で、被買収会社の独立志向を放置するとシナジー効果の面でも不正リスクの面でも将来に暗雲を投げかけかねない。

[.おわりに
各事案の調査委員会が見出した「教訓」を参考として、各社が企業集団ベースの内部統制の高度化に取り組むことが望ましい。

   
 

フランスの健康保険システムの特徴
〜公的保険と民間保険の相互依存・一体化〜 (PDF1.1MB)

   
 

= 要 約 =
執筆者: ファカルティフェロー 小林 篤

   
 

T.はじめに
現在のフランスの健康保険システムは、他の先進各国の健康保険システムとは大きく異なる特徴を有する。本稿では、まずフランスの健康保険システムの沿革を辿り成立過程で刻印された特性と社会保険制度との関係、収支構造・市場構造を検討する。次に長い来歴のなかで健康保険システムの改革に取り組んできた課題と対応を簡単に概観する。最後に基本構造に関する見方を検討しフランス健康保険システムの特徴を整理する。

U.フランスの健康保険システムの沿革
1930年には疾病、出産、障害、老齢年金および死亡に関する給付を行う、任意加入の社会保険に関する社会保険法典が編纂され、共済組合は社会保険の運営者とされた。第二次大戦後の1945年に労使関係をベースにして労使が社会保険拠出を行う、同業・同職種によって分立した強制加入法定健康保険制度に改定されることになった(ただし、社会保険制度対象外の者に加入の道を開く一般制度がその後新設された)。このため、共済組合は、一部は廃止、その他は任意加入の民間健康保険者へ転換した。フランスにおける民間保険は民間健康保険という呼称ではなく、補足的疾病保険と呼ばれている。民間健康保険を扱える組織は、@共済組合、A労使共済制度、B保険会社である。2016 年の制度改正によって無保険者の存在は無くなり、国民皆保険化が実現した。

V.フランスの社会保険制度と健康保険システムおよびフランス健康保険システムの収支構造・市場構造フランスの健康保険システムは、強制加入社会保険の1部門である。その収支構造の特性は、歳入の約8割を拠出金と税金に依存していること、強制加入社会保険部門間の資金振替がなされていることである。民間保険の市場は、共済組合・労使共済制度の市場と保険会社の市場とに分かれている。前者の市場では健康保険以外の幅広い保障が提供され、後者の市場では健康保険に関する多種多様な保障とサービスが提供されている。

W.健康保険システム改革における課題と問題解決の取組
フランスも他の先進各国と同じく、恒常的な医療費の増加と財政均衡に取り組んできた。この課題への取り組みとして、公的健康保険者の機能の強化がある。公的健康保険者の機能強化には、日本の公的健康保険で採用されている、患者の医療費を第三者の保険者が支払う第三者払が不可欠である。第三者払は、公的健康保険者の交渉力が機能することから、フランスにおいても推進されてきた。第三者払の推進は、また医療サービスへのアクセスの障害を解決する対応策でもある。

X.フランス健康保険システムの基本構造の見方と特徴の整理
フランス健康保険システムの基本構造は、公的健康保険と民間健康保険が複雑かつ錯綜した関係で併存している構造である。その特徴としては、公的健康保険と民間健康保険との相互依存性と一体化、社会保険制度の一部門としての健康保険システムおよび中央政府の強い介入の三つを挙げることが出来る。

   
 

米国企業による健康増進・疾病予防の取り組みに関する動向
〜現状を象徴するトピックと日本の健康経営への示唆〜(PDF5.4MB)

   
 

= 要 約 =
執筆者: 主任研究員 久司 敏史

   
 

・従業員の健康増進・疾病予防に取り組む米国企業の目的は、従来からの医療費増加の抑制に加えて、生産性・士気・満足度の向上、採用・人材確保、職場の健康風土の醸成など多様化している。

・目的の多様化とともに、プログラムも多様化しており、職場のコミュニケーション向上を狙うプログラム、地域貢献活動なども組み込まれるようになっている。

・病気を発症していない人をも含んだ対象集団全体の健康度改善・向上を目指すフレームワークPopulation Health Managementは、集団全員の健康評価、階層化、働きかけ、効果測定のプロセスで構成され、集団を構成する全員に対して、健康状態に応じ働きかけが行われる。

・投資対効果の評価手法として、価値評価に重点を置いたVOIが用いられるようになっている。VOIは金銭換算できない価値についても評価が可能であり、伝統的な評価手法であるROI と併用されている。

・プレゼンティーイズムは、パフォーマンス(仕事の成果)を表しているものではない点に留意が必要である。また、金銭換算に当たっては是非を含めた議論が現在でも続いている。

・日常の金銭管理、退職後の経済的な生活設計など金銭的な健全性を支援するFinancial Wellness Program の導入が拡大している。また、スチューデント・ローンの返済支援を行う企業も現れている。

・伝統的なメンタルヘルス対策プログラムEAP(Employee Assistance Program)は、課題解決志向型のプロセス、外部資源との連携に特徴がある。

・身体と精神・心理面の健康の統合的な改善・向上を図る重要性が強調されている。こうした中で、マインドフルネスのストレス反応の改善、クリエイティビティの向上などの効果に注目が集まっている。

・米国企業では、ウェルビーイングの概念に着目するなど健康概念を拡大して改善・向上を図る動きがみられる。また、健康が生み出す価値についても幸福感、満足度など広く捉えるようになっている。
日本の健康経営においても、こうした動きは参考になるであろうし、健康だけに焦点を当てるのではなく、働き方や人材育成、福利厚生などの人事戦略の一環として健康増進・疾病予防を捉える視点が重要になると思われる。

   
 

欧米保険会社における遡及的再保険の活用と効果 (PDF0.9MB)

   
 

= 要 約 =
執筆者: 副主任研究員 松野 篤

   
 

T.はじめに
遡及的再保険(retrospective reinsurance)は、既に発生している事故や災害に起因する損害に対して、請求や金額が未確定の保険金支払債務を対象とした再保険である。本稿は遡及的再保険活用の事例とその効果を紹介することにより、欧米の保険会社(出再者)および再保険会社(受再者)の経営戦略の一端を明らかにすることが目的である。

U.遡及的再保険の仕組み
遡及的再保険は期間や費用の面で容易に利用できるメリットがある。特に米国においては、長期間、不確実な将来債務を持つレガシー事業のリスクを移転する場合、遡及的再保険を利用することが多い。遡及的再保険の仕組みは、アドバース・ディベロプメント・カバー、ロス・ポートフォリオ・トランスファー、およびハイブリッドに大別され、どの仕組みを用いるかは、出再者がどのような効果を求めているかで決まる。

V.出再者における活用事例と効果
出再者であるAmerican International Group(AIG)の事例では資本効率の改善、Liberty Mutual Insurance(Liberty Mutual)の事例では支払備金の不確実性の抑制、RSA Insurance Group(RSA)
の事例ではソルベンシー改善の効果が見られている。

W.受再者における活用事例と効果
受再者であるNational Indemnity Company(NICO)の事例では長期の保険金支払債務を抱えることによる運用の選択肢の多様化、Enstar Group Limited(Enstar)の事例では効率的な保険金支払管理を行うことによる収益性の向上効果が見られている。

X.おわりに
受再者と出再者の目的は異なるが、共に利害が一致する限り、遡及的再保険の活用は継続すると思われる。また、アスベストおよび環境汚染のリスクに対する支払備金の水準は高く、しばらくこの債務が遡及的再保険の中心であり続けると予測される。

   
 

米国損害保険市場の動向(2017年実績) (PDF0.9MB)

   
 

= 要 約 =
執筆者: 副主任研究員 松野 篤

   
 

本稿では、2017 年の米国損害保険市場概況および損害保険会社決算概況を紹介する。
2017年は、マーケットのソフト化が続く企業保険分野を堅調な米国経済に支えられた個人保険分野が補い収入保険料の伸びは継続したが、大規模な自然災害が多数発生したことから発生損害額および損害調査費が増大し保険引受損益は大幅なマイナスとなった。しかし株式等の売却などに伴う実現損益により、純利益は前年には及ばなかったが保険引受損益のマイナスを考慮すれば高い水準となった。

   
 

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