損保ジャパン日本興亜総研レポート


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2016年3月31日発行 Vol.68

  内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
掲載論文: 1.米国ヘルスケア改革の進展と健康保険者の役割
―問題解決の取組、イノベーションおよび新しい事業モデルの構築―
  2. ゲノム情報の活用をめぐる動向
―実用化推進にむけた取り組みと諸外国における保険分野への規制―
  3.イギリスにおける保険販売規制
  4. イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の動向
―EU保険販売業務指令の発効―

 
米国ヘルスケア改革の進展と健康保険者の役割
―問題解決の取組、イノベーションおよび新しい事業モデルの構築― (PDF:1.7MB)
   
 

= 要 約 =
執筆者: ファカルティフェロー 小林 篤

   
 

Ⅰ.米国ヘルスケア改革における問題解決の取組とイノベーション
米国では2014年にいわゆるオバマケアと呼ばれるヘルスケア改革が本格的に実施された。その実施過程には、多くの試行錯誤とイノベーションとがあり、多くの示唆が得られる。また、ヘルスケア改革は、健康保険市場改革が重要なテーマとなっており、健康保険者もその事業形態の変更を迫られるほど劇的な変化が進行している。

Ⅱ.Payorとしての連邦政府とイノベーションの取組
米国のヘルスケアシステムの主要な当事者は、患者・保険加入者などのヘルスケアサービス利用者、病院等のヘルスケアプロバイダーおよび健康保険者などPayorである。ヘルスケアプロバイダーは、サービス提供を行った後にそのコストを患者ではなくPayorに請求し、Payorはその請求に対し自分の支払基準で支払う償還方式が一般的である。償還方式のイノベーションが進行中である。

Ⅲ.ヘルスケアの品質向上とヘルスケアコスト低減の両方を実現するValue-Basedへの取組
Volume(量)でなくValueに基づく償還方式は、コストと品質という二兎を追う、難しい取組である。米国には、その償還方式の促進に関する広範な合意があり、連邦政府がその実現のため各方面の知恵を集合する取組をしている。

Ⅳ.ACOの多様性とイノベーション
ACOは、ヘルスケアプロバイダーのグループであり、患者にコーディネートされたケアを提供し、慢性疾患に関するディジーズマネジメントを行い、それらを実施することで患者に対するケアの質を改善する。ACOはValue-Basedを必須要素とする償還方式を採用し、多くのイノベーションを進めている。

Ⅴ.Exchangeの進展状況とイノベーション
米国のヘルスケア改革では、イノベーション的な取組である、インターネットを活用した保険加入システムExchangeが政府運営で導入されたが、インターネット完結型には多くの難しさがあることが判明し保険募集チャネルの必要性・重要性が認識された。

Ⅵ.新しい事業モデル構築に取り組む健康保険者
低収益の伝統的保険事業と資本市場からの圧力によって、米国の健康保険者は、収益性が高い事業形態の開発に取り組んでいる。保険事業収益主体ではなく、手数料収益モデルの転換が模索されている。

Ⅶ.2010年ヘルスケア改革法実施の進展に関する特徴
米国のヘルスケア改革実施の特徴を分析すると、他国は多くの示唆が得られる。

   
 

ゲノム情報の活用をめぐる動向
―実用化推進にむけた取り組みと諸外国における保険分野への規制― (PDF:4.0MB)

   
 

= 要 約 =
執筆者: 副主任研究員 井 裕美子

   
 

Ⅰ.はじめに
2003年にヒトゲノム(人間の全遺伝情報)の解読が完了して以来、革新的な解析技術や情報処理技術の開発がすすみ、ゲノム情報活用のハードルは大きく下がった。この新たなビッグデータは、医療のあり方ばかりでなく社会の幅広い領域に影響を与える可能性がある。

Ⅱ.ゲノム情報を用いた医療等の現状
これまで基礎研究や医薬品開発の領域にとどまっていたゲノム情報の活用は、解析コストの著しい低下により、疾患の診断・治療のみならず、一般消費者向けのサービスにまで広がりをみせている。今後、集積したゲノムデータが活用されるようになれば、個々人の体質や疾患に対応する個別化医療・予防医療の普及や、ゲノム情報に基づいた創薬などの研究開発の進展が期待される。

Ⅲ.我が国における実用化推進に向けた取り組み
政府の健康・医療戦略推進体制のもと、欧米からの出遅れを挽回し、ゲノム医療の実用化を加速させるために必要な法制度や社会環境の整備についての検討が進められている。直近では、「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」が発足し、当面の課題である①改正個人情報保護法におけるゲノム情報の取り扱い、②ゲノム医療等の質の確保、③ゲノム医療等の実現・発展に向けた社会環境整備、についての議論がすすめられている。

Ⅳ.諸外国における状況
米国・イギリスでは、国を挙げてのゲノム研究プロジェクトが推進されている。また、ゲノム情報に基づく差別や保険分野での情報の取り扱い等に関し、各国において様々な規制が定められている。

Ⅴ.おわりに
ゲノム情報の活用と保護のバランスをどうとるべきか、それにはどのような法制度が望ましいのか、十分な議論がなされるべきであろう。これから日本ではどのような法制度が目指されるのか、そして、保険業界にはどのような影響があるのか、今後の行方を注視する必要がある。

   
 

イギリスにおける保険販売規制(PDF:764KB)

   
 

= 要 約 =
執筆者: 副主任研究員 松野 篤

   
 

Ⅰ.はじめに
2015年、イギリスの金融行動規制機構(FCA)および競争・市場局(CMA)は、それぞれ保険販売に関連した規制を公表した。両規制は今後イギリスの保険販売プロセスに影響を与えるものと思われ本稿で紹介することとした。またFCAが2015年4月より競争法上CMAと競合する権限を有するようになったことを関連トピックスとして紹介する。

Ⅱ.FCAによる販売規制
2016年4月にFCAハンドブックの改定が行われ、すべての金融商品に付帯する商品について、顧客が能動的に選択をしない限り、付帯販売は禁止される。

Ⅲ.CMAによる販売規制
2016年8月以降、個人向け自動車保険において無事故割引プロテクト特約販売時に顧客への注意喚起が必要とされる。また、準拠状況について定期的にCMAへレポートを提出しなければならない。

Ⅳ.競争法上の権限の競合
イギリスでは特定の分野においては2つ以上の規制者が競合して競争法上の権限を有している。FCAは2015年4月よりCMAと競合して競争法上の権限を有することとなった。

Ⅴ.おわりに
規制により損害保険の販売プロセスは現在より煩雑となることが予想される。実際の適用状況、消費者の反応等、今後も機会があればイギリスの損害保険市場における規制の動向を紹介したい。

   
 

イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の動向
―EU保険販売業務指令の発効― (PDF:861KB)

   
 

= 要 約 =
執筆者: 副主任研究員 松野 篤、研究員 大澤 啓明

   
 

Ⅰ.はじめに
損保ジャパン日本興亜総合研究所ではヨーロッパにおける損害保険の主要市場であるイギリス、ドイツおよびフランスの損害保険市場に関するレポートを毎年公表している。本稿は主に2014年(一部2013年)のデータを用いた最新版である。

Ⅱ.各損害保険市場の動向
イギリスの2014年の元受保険料は446億ポンドと前年から1.0%の減少となった。ドイツの2014年の元受保険料は968億ユーロと、前年から2.5%の増加となった。フランスの2014年の元受保険料は712億ユーロと2013年から2.1%の増加となった。
保険引受収支を見ると、イギリスの2014年の損害保険全種目の損害率は65.8%、事業費率は32.5%、コンバインド・レシオは98.3であった。ドイツの2014年の損害保険全種目の損害率は74.2%、事業費率は20.4%、コンバインド・レシオは94.6であった。フランスの2013年の損害保険全種目の損害率は76.0%、事業費率は24.4%、コンバインド・レシオは100.4であった 。

Ⅲ.EU保険販売業務指令の発効
2012年7月から続いていた「保険仲介業務指令(IMD)」の改正審議が終わり、2016年2月23日に新たに「保険販売業務指令(IDD)」が発効した。IMDからの主な変更点は、①適用範囲の拡大、②報酬の開示、③保険商品情報書類の標準化、④専門知識の保有⑤クロスボーダーな保険仲介者のデータベース構築、⑥クロスセリングの規制である。

   
 

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