損保ジャパン日本興亜総研レポート


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2013年9月30日発行 Vol.63

  内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
 
掲載論文: 1.オランダの民間健康保険市場と民間健康保険事業
-公的健康保険制度の担い手としての民間保険の役割と実態-
  2. 韓国における社会的企業の展開
-背景、事例、課題-
 

3. 米国損害保険市場の動向
-2012 年の実績と消費者動向および保険会社各社の戦略-





 
オランダの民間健康保険市場と民間健康保険事業
-公的健康保険制度の担い手としての民間保険の役割と実態- (PDF:1.2MB)
   
 

= 要 約 =
執筆者:ファカルティフェロー  小林 篤

   
 

T.はじめに −公的医療保険制度の担い手としてのオランダ民間保険者と民間健康保険市場の一般的特徴−
日本では、公的な社会保険制度によって国民に強制加入の皆保険を実現している。オランダでは、皆保険を目指す公的な健康保険制度を、保険市場の民間健康保険者が担っている。全員が加入できる社会保険的制度の実現は、民間健康保険では特に疾病リスクが極めて高い者を引き受けることはできないなどの問題があるため、通常は困難である。オランダでは、この問題やその他の問題を克服するためにどのように仕組みを導入しているか、また民間保険はどのような役割を果たしているだろうか。

U.オランダの現行健康保険システム−概要・特徴と民間保険者の役割・活動範囲−
オランダの健康保険システムは、三層構造になっている。第1層は、公的介護保険である。第2層は、管理規制された保険市場で民間健康保険者が、法定保険の販売競争をして皆保険体制を実現する健康保険部分である。第3層では、民間保険者が任意に第1層、第2層の補償内容を補完する保険も販売している。ヘルスケアに関する自由化が進展し、民間保険者は、ヘルスケアサービス供給者と交渉しヘルスケアサービスの質と価格について交渉できる余地が拡大するなか、単に保険金を支払うだけでなく加入者に対し合理的なヘルスケアのサービス提供を確保する義務まで負っている。 

V.現行健康保険システムに至る沿革とオランダ的問題解決手法
オランダの社会保険は一定の所得水準以下の者を対象にし、その水準を超える者は任意加入の保険を利用してきた。1990年代に社会保険の保険者である疾病保険基金に、加入者が保険者を選択する競争が導入され、他方私的民間健康保険者が社会保険制度維持のために拠出金を支払う制度が導入されるなど、社会保険の保険者と私的民間健康保険者の同質化が進んだ。2006年に消費者の選択を強化する、ヘルスケアの自由化、保険市場への規制された競争の導入などの競争促進政策が実施された。公的制度の市場化のなかで、保険者が引受拒否をしない皆保険を実現するためのリスク調整が導入され発展した。

W.健康保険市場と民間健康保険事業者のビジネスモデル
現在のオランダの民間健康保険市場は、以前の社会保険の保険者と私的民間健康保険者が全て民間保険者となって、厳重で強い規制下で競争する市場である。その市場は4つの専門保険者による寡占市場となっているが、政府は適切な監視・監督によって健康保険入手可能性、ヘルスケアサービスへのアクセスおよび品質の確保という目標は達成されているとしている。現在の保険市場では、保険料割引がある集団加入の割合の高まりや保険料水準に不満を持つ多くの保険加入者の存在など、競争促進によって保険の補償範囲、保険給付の対象となる医療サービスの品質が多様化する傾向より、同一または類似商品の価格を重視して選択する価格競争の傾向が強く出ている。

X.オランダの健康保険制度の際立つ独自性オランダには、他の国にみられない、独特の公私ミックスのハイブリッド健康保険と保険市場で強い規制を行って競争促進させる独特の民間保険市場が存在する。オランダの健康保険制度は、独自の集団的交渉・社会対話、現実的対処の姿勢・妥協も含め、長い独特の経緯を経て成立しており、際だった独自性を持っている。

   
 
韓国における社会的企業の展開 -背景、事例、課題-(PDF:0.8MB)
   
 

= 要 約 =
執筆者
東京経済大学経済学部4年 駒崎 ナエコ
東京経済大学経済学部3年 小倉 綾乃
(指導教授:東京経済大学経済学部 准教授 金 成垣)

   
 

T.はじめに
本稿では、2013年1月13日から2月7日にかけて、韓国ソウルで行った社会的企業に関するヒアリング調査の結果を報告する。

U.韓国における社会的企業の興隆
韓国では、1990年代末の経済危機とその後の労働市場の柔軟化の中で、雇用情勢が悪化した。その問題を解決すべく、国の雇用創出・拡大政策の一環として社会的企業育成政策が展開された。2007年には、「社会的企業育成法」が制定され、社会的企業が雇用創出政策の主な担い手となった。

V.事例紹介
ヒアリング調査の全体的な概要、また韓国における社会的企業の現況を簡単にまとめたあと、「ヒアリング調査を行った6つの社会的企業とその関連機関のうち、代表的な事例として3つ――Organization Food(「多文化」支援事業を展開する社会的企業)、 SEEDS(社会的企業の中間支援団体)、K2 International (日本の社会的企業の海外展開の可能性)――をとりあげ、それぞれの概要と活動内容またその特徴などを紹介する。

W.問題点と今後の課題
2つの問題点が指摘できる。まず、韓国における社会的企業の活動が、国の政策の一環として展開されていることに関わる問題点がある。すなわち、社会的企業の活動は法律に基づいて支えられているが、法定上の諸条件を満たせない団体は、社会的企業としての認定を受けず、不安定な環境の中で活動をせざるをえない。さらに、雇用創出・拡大政策の主体としての社会的企業が抱えている問題として、雇用の質が「短期間・低賃金・非熟練」にならざるを得ない現状がある。今後の発展過程において、国の支援のあり方や中間支援団体のあり方を再検討し、問題を解決してゆく必要がある。

 

   
 
米国損害保険市場の動向
-2012 年の実績と消費者動向および保険会社各社の戦略-(PDF:0.8MB)
   
 

= 要 約 =
執筆者 :研究員  稗苗 優紀

   
 

T.はじめに
 本稿では、米国損害保険市場の概況を2012 年のデータに基づいて整理する。また、トピックとして、米国損害保険における消費者動向と保険会社各社の戦略を考察する。

U.米国損害保険市場の動向
2012年の正味収入保険料は前年比4.2%増加して4,605億ドルとなった。これは2011年後半から本格化した保険料率の引き上げが続いていることによるところが大きい。2012年はスーパーストーム「サンディ」の到来により保険引受損益は大きく悪化したものの、全体の異常災害による損害は前年に比べ軽微であったことから、通年の損害率は抑えられ、コンバインド・レシオは2011年の108.4から2012年は103.1に改善した。正味資産運用利益は前年比1.5%減となったものの、純利益は85.6%増、契約者剰余金は6.5%増となった。

V.主要種目の成績概況
2012年の個人保険分野の正味収入保険料は前年比3.7%増の2,433億ドルとなった。自動車保険では、医療費や自動車修理費の上昇が損害率を押し上げる要因となっているものの、保険金請求件数に大きな変動がなかったことから、安定した収益をあげた。ホームオーナーズ保険は、2012年は前年に比べ民間保険会社の支払対象となる異常災害による損害が軽微であったことから損害率が抑えられた。それでも、米国損害保険業界は、料率引き上げや総合的なリスク管理により収益の安定性向上に取り組んでいる。企業保険分野の正味収入保険料は、前年比4.5%増の2,092億ドルとなった。本格的なハード・マーケット化ではないとの見方もあるものの、一部の保険種目や保険会社では料率引き上げの動きがみられる。

W.消費者動向と保険会社各社の戦略
保険購入にあたり、近年ではインターネットによる情報収集が定着し、直販(ダイレクト)保険会社で手続きを行う消費者は増加傾向にある。一方で、保険に関する適切なアドバイスを代理店等から得たいというニーズがあることも判明している。本章では米国損害保険における消費者動向および保険会社各社の動きを考察する。

X.おわりに
米国損害保険市場は引き続き、競争の厳しい市場環境、低い投資利回り、不規則な天候変化による異常災害の発生などにさらされているものの、経済状況が好転し始めたこともあり、2012年は収益を向上させた。ただ、これには各保険会社が料率の引き上げに取り組み、保険引受の厳格化や精緻化に努めていることも見逃せない。また、保険募集においても今の時代の消費者ニーズにあわせたスタイルが模索されている。

   
 

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