損保ジャパン日本興亜総研レポート


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2013年3月29日発行 Vol.62

 

内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
 
掲載論文: 1. 米国損害保険市場の動向
- 米国損害保険業界におけるソーシャルメディアの現状とソルベンシー規制の動向 -
  2. イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の動向
- EU保険仲介者指令改正の動きにともなうイギリス保険業界の反応とイギリス競争委員会による個人自動車保険の市場調査実施について -
  3. 英国の公的医療保障制度と民間保険事業・市場
- 全住民対象の公的医療保障制度下の民間健康保険の役割と革新 -




 
米国損害保険市場の動向
- 米国損害保険業界におけるソーシャルメディアの現状とソルベンシー規制の動向 - (PDF:1.6MB)
   
 

= 要 約 =
研究員 稗苗 優紀 廣岡 知

   
 

T.はじめに
当研究所では、米国損害保険市場及びそれを取り巻く環境について、継続的に調査を行ってきた。本稿では、米国損害保険業界におけるソーシャルメディアの活用状況とそれに対する規制動向、および、保険会社の健全性確保が国際的に取り上げられる中での米国のソルベンシー規制動向を紹介する。

U.米国損害保険業界におけるソーシャルメディアの現状
規制業種である保険業界では、ソーシャルメディア活用は遅いのではないかという見方もあった。しかし現状を見ると、ソーシャルメディア利用者の急増を背景に、米国では損害保険業界においても積極的に利用する企業が多くみられるようになった。こうした実態を踏まえ、その利用に関する規制も進みつつある。ソーシャルメディアはいくつかの州で個別に規制されていたが、全米各州の方向性を統一していく動きも見られる。

V.ソルベンシー規制の動向
米国では、保険業界への規制・監督に関し、過去に何度か連邦ベースにすべきという議論はあったものの、州による規制・監督を維持し、その枠組みの中でソルベンシー規制も改善が重ねられてきた。最近では金融危機におけるAIG 問題もあり、ソルベンシー規制現代化の取組みも加速度を増し、現在佳境を迎えている。金融危機により、損害保険もグローバルな金融市場に結びついていることが認識されているため、その規制は多岐の領域に渡ることとなっている。

W.おわりに
米国では監督機関も保険会社もソーシャルメディアの利用に前向きな動きを見せており、今日まで試行錯誤を重ね、足固めを行ってきている。米国ではリスクや失敗の先にある新たなビジネスの可能性にチャレンジし、より最適な保険の形を追求することが重視されているように考えられる。 損害保険事業の特徴や金融市場との結びつきという点から、ソルベンシー規制は多岐に渡っている。米国におけるソルベンシー規制は過去から改善がなされてきたが、今回の特徴は国際的な整合性の視点が加わっていることである。米国のソルベンシー規制は、長い歴史の中で欧州諸国や日本とは違った特色を育んできたが、次第に規制の改善及び国際的な枠組みとの統一が図られるものと考えられる。

   
 
イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の動向
- EU保険仲介者指令改正の動きにともなうイギリス保険業界の反応とイギリス競争委員会による個人自動車保険の市場調査実施について -(PDF:1.4MB)
   
 

= 要 約 =
研究員 門脇 由美 喜田 亜紀子 鈴木 久子

   
 

T.はじめに
本稿では、当研究所が継続して行っている欧州先進国に関する調査の一環として、イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の概況と、EU保険仲介者指令改正の動きにともなうイギリス保険業界の反応、および、イギリス競争委員会による個人自動車保険の市場調査実施について紹介する。

U.イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の最新動向
イギリスにおける2011年度の損害保険の元受保険料は430億ポンドと、前年から0.7%の減少となった。コンバインド・レシオは96.9であった。ドイツにおける2011年度の損害保険の元受保険料は566億ユーロと、前年から2.5%の増加となった。コンバインド・レシオは97.9であった。フランスにおける2011年度の損害保険の元受保険料は655億ユーロと、前年から3.4%の増加となった。コンバインド・レシオは98.5であった。

V.EU保険仲介者指令改正の動きにともなうイギリス保険業界の反応
金融危機以降、EUでは金融セクターにおける規制・監督の見直しが行われ、改革等が行われている。このような流れの中で、保険仲介者への規制を強化する保険仲介者指令の改正案が公表された。改正案は、消費者保護を強化するとしており、適用範囲の拡大や報酬開示の義務化などが盛り込まれている。改正案に対して、イギリス保険業界は、それほど大きなインパクトにはならないと評価しているものの、報酬開示の義務化についてEUレベルでの議論が長引くと予想している。

W.イギリス個人自動車保険市場の効率性 - 競争委員会による市場調査の実施について -
イギリス公正取引庁は、個人自動車保険市場における競争が効率的に機能しているか分析するため市場調査を実施し、事故処理プロセスにおいて、競争を妨害、制限、歪曲する慣行が認められるとして、更なる調査を競争委員会に付託した。競争委員会による調査は、事故プロセスに限らず、消費者保護の観点から、市場の多様な側面について競争制限が生じていないか広く検証される予定である。市場競争の機能不全の原因分析を巡っては、業界の各関係団体からも多くの意見書が提出されており、解決策が公表される2014年9月まで活発な議論が継続されることが予測される。

   
 
英国の公的医療保障制度と民間保険事業・市場
- 全住民対象の公的医療保障制度下の民間健康保険の役割と革新 -(PDF:1.2MB)
   
 

= 要 約 =
ファカルティフェロー 小林 篤

   
 

T.はじめに
英国は、全住民を対象とし、広範な給付を無償で提供する医療保障制度National Health Service(NHS)がある中で、1 割強が民間健康保険に加入しているという。民間健康保険は、充実した公的医療保障制度がある中、何故必要とされ、どのような役割を果たしているのだろうか。

U.英国の公的医療保障制度と民間健康保険の種類・利用形態
NHS は、創設後も病院の私費ベッドや私費治療が継続実施され、公私混合システム的な側面がある。NHS の医療サービスは、プライマリーケア、セカンダリーケア等に区分される。住民が最初に接触するのは、プライマリーケアを担当する家庭医GP であり、GP が専門医・病院へ紹介する制度となっている。GP は、NHS と契約せずに独立してプライマリーケアを提供することもでき、NHS 業務以外の私的な業務を行うこともできる。

V.NHSと民間保険事業の沿革と関係
NHS が創設される前から、私営の医療機関が存在し、労働者階級による拠出制共済制度も普及していた。拠出制共済は、NHS 創設後も存続し、今日の民間健康保険の源流になっている。1990 年代に保守党政権は、民間健康保険を促進してNHS への財政負担を軽減する政策として税制優遇を採用し、その後労働党政権により廃止された。民間健康保険は、NHS 政策の変更に影響されたことがある。

W.英国の民間健康保険市場とプレーヤー
英国の民間健康保険市場には、Private medical insurance とHealth Cash Plan の商品別セグメントと、個人市場と企業市場の需要者セグメントがある。企業が従業員のために福利厚生制度として医療保障制度を実施するための保険加入規模は個人市場を凌駕している。緩い商品規制のなか、各種の商品開発・サービスのイノベーションが進展してきた。

X.民間健康保険事業のビジネス・モデルと英国の民間健康保険事業
民間健康保険事業のビジネス・モデルの一般的な特徴が英国でも見られる。年齢別保険料の設定、加入年齢制限、加入者病歴情報の徴求等の危険選択、利用可能な病院ネットワークの構築があり、雇用主ルートによる団体加入の割合が高く、雇用主の自家保険とその支援サービスも存在する。

Y.英国の民間健康保険の特徴と役割
英国の民間健康保険では、GP と仲介者が大きな役割を果たし、個人加入だけなく企業ルートが大きな割合を占めている。また、需要の変化に呼応するイノベーションを促進する環境がある点が特徴である。NHS 自体が公私混合的システムであり、民間保険と公的制度は単純な分担ではない。NHS の給付は広範であるが私的な選択を求める様々な需要が存在しており、民間保険の機能は、公的給付を補完する役割があり、さらに費用支出の一部を肩代わりし関連するサービスを提供する形態に進化してきた。

   
 

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