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2011年1月31日発行 Vol.57

 

内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
 
掲載論文: 1. 米国損害保険市場の最新動向
- AIGへの公的資金投入に関する動向 -
  2. 米国の企業における健康増進・疾病予防に関する取り組みの動向
- ディジーズ・マネジメント、ウェルネス・プログラムを中心として -




 
米国損害保険市場の最新動向
- AIGへの公的資金投入に関する動向 -(PDF:684KB)
   
 

= 要 約 =
研究員 田尻貴夫

   
 

T.はじめに
本稿では、米国損害保険市場の概況とトレンドを2009年のデータに基づいて整理する。また、トピックとしてAIGの救済に関する動向を取り上げる。

U.米国損害保険市場の動向
2009年の米国損害保険市場の正味計上保険料は4,264億ドルで3年連続の減少となったものの、大規模な自然災害が少なく、過去に保守的に見積もられた支払備金の戻し入れによる収益の底上げや、またモーゲージ担保保証保険および金融保証保険の損害額が減少したことによりコンバインド・レシオは改善し100.6であった。また、金融・証券市場の回復による資産運用関連の収益が増加したことにより、保険会社において資本に相当する契約者剰余金は史上二番目に多い5,316億ドルとなった。

V.主要種目の成績概況
2009年の個人保険分野に料率は上昇し、コンバインド・レシオは、ホームオーナーズ保険の損害率改善や支払備金の戻し入れにより2008年の104.5より改善して102.4となった。企業保険分野では料率の下落が続いたものの、コンバインド・レシオは2008年の103.8より改善して2009年は98.9となった。

W.AIGへの公的資金投入に関する動向
AIGに公的資金が投入された背景に、AIGファイナンシャル・プロダクツ社のCDS契約とAIGセキュリティーズ・レンディング社の証券貸借プログラムが引き起こした流動性の問題がある。この流動性の問題に対応するため複数の枠組みにより公的資金が投入され、その規模は2010年9月30日時点で1,248億ドルとなっている。 AIGは公的資金返済のため、多くの事業会社の売却や新規株式公開などにより資金調達を行い、公的資金返済計画を発表し、関係者と合意するに至っている。AIG は今後、米国および海外の損害保険事業と米国内の生命保険およびリタイヤメント・サービスを継続事業とし、これら事業により収益を上げていくこととなる。

   
 
米国の企業における健康増進・疾病予防に関する取り組みの動向
- ディジーズ・マネジメント、ウェルネス・プログラムを中心として -(PDF:1.3MB)
   
 

= 要 約 =
研究員 後藤 愛
主任研究員 久司 敏史

   
 

T.本稿の目的と構成
本稿は、米国の企業における健康増進・疾病予防の取り組みについて、ディジーズ・マネジメントとウェルネス・プログラムを中心に、その沿革を概観した上で、近年の動向を紹介するものである。

U.米国の企業における健康増進・疾病予防の沿革
  - 企業の目的の変化に焦点を当てて -
米国では、1960年代に労働災害の件数が大きく増加したため、企業において、従業員の業務上の怪我、疾病および死亡の予防、職場環境の安全性の向上を目的とした安全性向上プログラムが実施されるようになった。安全性向上プログラムは、現在米国の企業で実施されている健康増進・疾病予防の取り組みの源流の1つである。同じ時期に、一部の大手企業では、従業員の生産性向上を目的とし、フィットネスを中心とした健康増進・疾病予防に関するプログラムを実施するようになっていた。さらに、1980年代には、より多くの企業が従業員の健康増進・疾病予防に取り組むようになるとともに、提供するメニューも多様化していった。また、1980年代に入ると、医療費の増加に伴う企業の健康保険料等の負担の増大が企業収益を圧迫するようになったことから、健康増進・疾病予防の取り組みは、医療費増加の抑制対策としての側面が強く意識されるようになった。1990年代後半には、医療費増加の抑制を実現するための一つの試みとして、慢性疾患患者を対象として重症化を予防する取り組みであるディジーズ・マネ ジメント・プログラムが誕生し、発展した。

V.ウェルネス・プログラムの最近の動向
2000年代後半に入ると、健康増進・疾病予防の取り組みの中でも、健康的な個人をも対象として健康維持・増進を図る取り組みが「ウェルネス・プログラム」と呼ばれて大きな関心を集め、多くの企業が導入するようになった。2010年の調査によると、従業員200名以上で少なくとも一つ以上のウェルネス・プログラムを導入している企業は92%に達している。近年になってウェルネス・プログラムに関心が集まっているのは、医療費増加の抑制に関して、ウェルネス・プログラムの効果への期待がいくつかの研究成果を踏まえて企業の間で高まっていることによる。また、ウェルネス・プログラムが企業に与える効果として、従業員の生産性の向上、従業員満足の向上といった点に注目する企業が増加していることが挙げられる。

W.ディジーズ・マネジメントの効果が問題となった事例と最近の動向
2000年代後半になると、高齢者向け公的医療保障制度におけるディジーズ・マネジメントの実験プログラムが期待されていた成果をあげられなかったなど、その効果が問題となる事例がいくつか生じた。ディジーズ・マネジメントを提供する事業者の間では、こうした状況も踏まえて、効果測定の精緻化に向けた取り組みや、ディジーズ・マネジメントを統合的な健康増進・疾病予防の取り組みの中に位置づける手法が提唱されるなどの新たな動きが見られる。

X.おわりに
ディジーズ・マネジメントに関しては、その効果について議論が続けられる中で、その手法、実施のあり方は今後も変遷していくものと考えられる。ウェルネス・プログラムに関しては、企業に対する最近のアンケート調査などを見ても、企業における利用が引き続き増加していくものと考えられる。

   
 

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