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2010年11月25日発行 Vol.56

 

内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
 
掲載論文: 1. イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の動向
- 欧州における金融監督規制改革の動向 -
  2. イギリス民間医療保険市場の動向




 
イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の動向
- 欧州における金融監督規制改革の動向 -(PDF:1MB)
   
 

= 要 約 =
主任研究員 松野篤

   
 

T.はじめに
当研究所では2009年12月発行の本誌52号「EU損害保険市場の最新動向−2008年の実績とトレンド変化−」においてイギリス、ドイツ、フランスの3カ国の損害保険市場の動向を紹介している。これからさほどの時間は経過していないが、世界的な金融危機が保険市場に与えた影響は軽視できず、このような動きをいち早く紹介するために本稿を執筆した。

U.イギリス、ドイツ、フランスの損害保険市場の最新動向
イギリスにおける2009年の損害保険の正味計上保険料は339億ポンドと、前年から4.3%の減収となった。自動車保険の保険引受収支の悪さから全種目のコンバインド・レシオは106.4であった。販売チャネルにおいてブローカーが中心的役割を果たしている状況に変化はないものの、価格比較サイトが近年急速に普及している。
ドイツにおける2009年の損害保険の正味計上保険料は547億ユーロと、前年から0.2%の増加となった。全種目のコンバインド・レシオは概ね90台前半で推移している。主要販売チャネルは1社の保険会社と代理店契約を締結する専属代理店であるが、インターネットを主体としたブローカーが個人向け自動車保険でシェアを伸ばしている。
フランスにおける2009年の損害保険の正味計上保険料は618億ユーロと、前年から1.5%の増収となった。2009年の保険引受収支は大規模な自然災害により悪化しており、全種目のコンバインド・レシオは100.1と、2002年以来の100台となった。主要販売チャネルは専属代理店と直販制保険相互会社であり、それぞれ約3分の1のシェアを有する。

V.欧州における金融監督規制改革の動向
今回の金融危機を受け、欧州においては2009年2月のド・ラロジエール・レポート、同年3月のターナー・レビュー等において金融監督規制改革の検討が行われた。規制範囲の拡大および権限の拡大、マクロ・プルデンシャルなリスク監督の追加等の方向性に基づき、EUにおいてはマクロ・プルデンシャルな視点で監督を行う欧州システミックリスク理事会(ESRB)およびミクロ・プルデンシャルな視点で監督を行う欧州金融監督システム(ESFS)が創設された。イギリスにおいては、イングランド銀行の権限強化と金融サービス機構(FSA)の廃止が決定している。ドイツではドイツ連邦銀行の機能強化と連邦金融監督庁(BaFin)の機能見直しが検討されている。フランスでは既に監督機関の再編が終了しており、2010年3月からプルデンシャル監督機構(ACP)と金融市場庁(AMF)による新しい金融監督規制がスタートしている。

W.おわりに
本稿では多くを触れなかったが、今回の金融危機により欧州の金融機関は相当なダメージを受け、保険を含めた金融グループの再編が進行している。金融監督規制改革と金融機関の再編により、欧州保険市場にどのような変化が生じるのか今後も注視していくこととしたい。

   
 
イギリス民間医療保険市場の動向(PDF:860KB)
   
 

= 要 約 =
主任研究員 久司 敏史
副主任研究員 田中 健司
研究員 川端 勇樹

   
 

T.本稿の目的と構成
本稿は、当研究所が継続して行っている米国および欧州先進国の医療保険に関する調査・情報発信の一環として、イギリスの民間医療保険に関し、その商品および市場の動向を紹介するものである。

U.NHS の概要
イギリスには、公的な医療保障制度として、全住民を対象に原則無料で医療サービスを提供するNHS(National Health Service)が存在する。NHSは、歯科治療、眼科治療などの一部が対象外となっているほかは、ほとんどの医療サービスが給付の対象となっている。NHS においては、地域別または機能別に設定されたトラストと呼ばれる組織が、医療サービスの提供主体となっている。NHSに所属する医療機関以外の民間医療機関が存在し、NHSからの委託に基づくサービスの提供のほか、自費または民間医療保険を利用した患者の受け入れを行っている。

V.民間医療保険市場の動向
イギリスには、PMI(Private Medical Insurance)、HCP(Health Cash Plan)の2種類の民間医療保険がある。PMI は、NHS の代わりに、民間の医療機関から医療サービスを受ける場合に利用される。外来での受診から、入院による治療費、ベッド代、手術費などを幅広く保険の対象としている。PMIは、主として、比較的所得の高い個人向けおよび大手企業の従業員を対象とする職域向けの商品として販売されている。2008年時点において、PMI の加入者数は約365万人、収入保険料は36億3,800万ポンドとなっている。
HCP(Health Cash Plan)は、NHSにおいて、一部自己負担とされている薬剤費や、NHSの対象とならない一部の歯科、眼科治療に関する治療費、差額ベッド代などを補償している。2008時点において、HCPの加入者数は約294万人、収入保険料は5億200万ポンドとなっている。

W.自己支払い
イギリスでは、PMI 等の民間医療保険に加入しておらず、また長期にわたる待機期間などを理由にNHSの枠組みの利用を望まない者が、医療サービスを利用するための選択肢として、自己支払い(Self-pay)が存在する。
本章で紹介する民間病院BMI Healthcareの例に見られるように、医療機関は、自己支払いの患者のために定額払方式を取り入れるなどの便宜を図っている。
また、自己支払いの利用者向けに、病院を選定し、病院とのディスカウントの交渉を行った上で、治療の手配を行うサービスを提供する会社も存在する。本章で紹介するMedical Care Direct社が提供する会員制サービスInclusive Healthcareは、このような治療手配サービスと、電話相談サービスおよび助言・情報提供サービスがパッケージ化されたものである。
自己支払いに関する最近の動向として、2007年から2008年にかけて自己支払いを利用する患者の数が落ち込んだために、民間病院がその埋め合わせとして、NHS適用の患者の受け入れを増やしたことがあげられる。

   
 

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