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2009年11月20日発行 Vol.54

 

内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
 
掲載論文: 1. 米国損害保険市場の最新動向
- 2007年の実績と販売チャネルの最新動向 -
  2. EU損害保険市場の最新動向
- 2008年の実績とトレンド変化 -




 
米国損害保険市場の最新動向
- 2007年の実績と販売チャネルの最新動向 -(PDF:628KB)
   
 

= 要 約 =
研究員 池田 香織

   
 

T.はじめに
本稿では、米国損害保険市場の概況とトレンドを2007年のデータに基づいて整理する。また、トピックとして2008年以降も含めた最新の販売チャネルの動向を取り上げる。

U.米国損害保険市場の動向
2007年の米国損害保険市場では大規模な異常自然災害の少なさと、支払備金の戻し入れによる収益の底上げ効果により、保険引受損益は2 年連続でプラスとなった。これに投資収益や実現資産売却益の増加が加わったことで、米国損害保険市場全体の成績は好調を維持し、保険会社において資本に相当する契約者剰余金も史上最高額となった。

V.主要種目の成績概況
2007年については、個人保険分野、企業保険分野ともに料率の引き下げが続いた。個人保険分野では、個人自動車保険の事故発生頻度が低かったこと、損害の規模の上昇が緩やかであったこと、および大規模な異常自然災害が無かったことが、支払備金の戻し入れと併せて、概ね良好な成績を支えた。企業保険分野では、保険会社の引受基準が緩められる傾向が見られるようになった。

W.販売チャネルの最新動向
保険会社のマルチチャネル化が進んでいる。主に個人自動車保険を中心とする個人保険分野では、ダイレクト・レスポンスチャネルがシェアを拡大しつつある。独立代理店については、店主の高齢化に伴う継承問題がクローズアップされてきている。また、個人保険分野・企業保険分野それぞれにおける顧客の維持・獲得のための取り組み例を紹介する。専属代理店については、他のチャネルと比較して顧客との関係が長続きする傾向があるという調査結果が存在する。一方、State Farm Florida社は、ハリケーン被害による収益悪化から、フロリダ州におけるホームオーナーズ保険からの撤退を公表しており、所属保険会社撤退という専属代理店特有のリスクが表面化している。銀行における保険販売については、銀行持ち株会社の67.5%が保険販売に参入しているが、手数料収入の規模にはバラつきがある。銀行による独立代理店買収は一段落し、代理店売却も一般化している。ダイレクト・レスポンスチャネルについては、ブロードバンドの普及に伴いインターネットチャネルが伸びている。保険会社のウェブサイトの改良も進み、顧客との関係強化の手段としてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などの活用に取り組む会社も増えてきている。

X.おわりに
2007年の米国損害保険市場は好調であったが、正味計上保険料の減少など、いくつかの懸念材料も見えてきた。新しい技術を取り込みながら、顧客を維持・獲得する方法を模索する保険会社や販売チャネルの動きには今後も注目していきたい。

   
   
EU 損害保険市場の最新動向
- 2008年の実績とトレンド変化 -(PDF:592KB)
   
 

= 要 約 =
主任研究員 松野 篤
副主任研究員 二瓶美由紀

   
 

T.はじめに
本研究所では、2006年12月発行の本誌46号に、イギリス、ドイツ、フランスの3ヶ国の市場概況および損害保険販売チャネルについて報告しているが、その後各市場においては、法規制の改正や企業の統廃合等が進み、状況が大きく変化していることから、今回入手できる最新の情報を踏まえ、新たにこの3ヶ国の市場概況および損害保険販売チャネルについて報告する。

U.EU の損害保険に関する法規制
欧州連合(European Union、以下「EU」という。)は、人、物、サービスおよび資本の自由な移動と単一市場の形成のため、EU設立条約に基づき、条約を補完する、規則、指令、決定、勧告および見解が制定されており、損害保険関連ではこれまでに複数の指令が制定されている。EU加盟各国において各指令の国内法制化はほとんど終了しており、保険会社に対する新たな所要自己資本規制であるソルベンシーUを残すのみとなっている。本章では主にEUの法規制の体系およびEUの損害保険関連法規制の進捗状況の総括を行った後、2009年4 月に欧州議会で可決され、2012年末に各国で実施される予定のソルベンシーUの概要を紹介する。

V.EU 損害保険市場概観
本章では、主として直近年次である2008年のデータを用いて、EU損害保険市場の位置付けを見た後、イギリス、ドイツ、フランスの主要3ヶ国の保険市場動向を概観する。 EU 損害保険市場における2008 年の国別計上保険料シェアはイギリス17.4%、ドイツ21.3%、フランス14.9%となっている。3ヶ国ともに自動車保険が総計上保険料の3割前後を占める1主要保険種目となっている。全種目平均のコンバインド・レシオは、近年は3ヶ国ともに100を割る水準で推移しているが、2007年は、イギリスでは夏の洪水による損害で、ドイツでは1月の暴風Kyrillによる損害で、コンバインド・レシオが悪化している。

W.EU 損害保険市場の販売チャネルの動向
本章では、欧州の主要3ヶ国保険であるイギリス、ドイツ、フランスにおける損害保険販売チャネルの概要、代理店およびブローカーといった伝統的な販売チャネルおよびダイレクト販売やバンカシュランス等の新興販売チャネルの状況について最新の動向を交えて概観する。 イギリスではブローカーが代表的な販売チャネルであり、個人分野の計上保険料で34%のシェアを有する。新興販売チャネルでは、ダイレクト販売のシェアの伸びが著しい。また、大手スーパー、郵便局といった、販売チャネルにおいて は、本業におけるブランドを生かした保険販売が行われている。 ドイツでは伝統的に代理店チャネルが強く、企業分野および個人分野の計上保険料の取り扱いで61%を占める。ブローカーは企業分野においてシェアを拡大し、企業分野の大半を扱う重要な販売チャネルとなっている。ダイレクト販売は、近年特に自動車保険で伸びてきており、将来、自動車保険の計上保険料シェアの25%を占めるようになるとの見方もあ る。 フランスでは企業分野および個人分野の計上保険料の取り扱いでは、代理店および直販制保険相互会社が2大販売チャネルとなっており、それぞれ33%、35%のシェアを有している。一方、インターネットの普及の遅れからインターネットによる保険販売は伸び悩んでいる。

X.おわりに
3ヶ国に共通した近年の傾向は代理店、ブローカーという伝統的な販売チャネルの弱体化であり、ダイレクト販売を中心とした新興販売チャネルのシェアの増加傾向であった。また、保険会社以外の事業会社が自社のブランド力を生かして保険販売を行う動きが見られた。保険料の比較等、保険情報収集のツールとしてもインターネットが活用されていた。こうしたEUの損害保険の販売チャネルの動向は、今後も注視する必要があると考えられる。

   
 

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