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2009年6月30日発行 Vol.52

 

内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
 
掲載論文: 1. 米国における健康保険市場と保険会社のヘルスケア事業
- 2007 年を中心とする概況とConsumer Driven Health Plan の動き -
  2. ドイツのディジーズ・マネジメント・プログラム
- 背景、施策、実施状況 -




 
米国における健康保険市場と保険会社のヘルスケア事業
- 2007 年を中心とする概況とConsumer Driven Health Plan の動き -(PDF:768KB)
   
 

= 要 約 =
研究員 田中 健司
研究員 後藤 愛

   
 

T.はじめに
本稿は、本誌47 号のレポート「米国における健康保険市場と保険会社のヘルスケア事業 - 2005 年を中心とする概況と最近の動き - 」、損保ジャパン日本興亜総合研究所トピックス1号のレポート「2006 年米国健康保険市場データ」の続編として、2007 年を基準点とした米国の健康保険市場の動向と民間保険会社のヘルスケア事業について、分析を行ったものである。

U.健康保険市場の概況
2007 年、多くの営利保険会社は、政府が運営するメディケアやメディケイドの分野において事業を拡大したが、メディケアやメディケイドのプランは、従来から営利保険会社が扱っていたプランよりも損害率が高い傾向にあり、支払保険金の増加率が収入保険料の増加率を上回った。損害率が上昇した一方で、多くの保険会社が事業の効率化を進め、事業費率を圧縮し、収益の確保を図っている。
営利保険会社のM&A 活動は、2006 年は動きがなかったものの、2007 年は再開され、年内に15 のM&A が発表された。15 の取引の中には、保険会社の運営を支援する会社の買収も含まれ、また、民間保険会社間で提携し、政府が運営するプログラムの入札に参加する動きが見られた。
米国において健康保険市場の中心となっている、職域市場における民間保険会社の健康保険料は1999年以来、一貫して上昇している。2008 年の平均年間保険料は2007 年と比較し、5%程度増加した。

V.医療コストの概況
2007 年の米国医療コストは2 兆2,412 億ドルとなっている。この数値は一貫して伸び続けているが、対前年比伸び率は6.1%であり、1999 年以来もっとも低い伸び率となった。2007 年の米国医療コストの対前年比伸び率の低下は、処方箋薬剤費やメディケア運営費の伸び率の低下が主な要因であった。2006年にメディケア受給者の処方箋薬剤給付をカバーするために民間保険会社が提供するメディケア・パートD と呼ばれるプランが導入されたことにより、処方箋薬剤費の対前年比伸び率が増加したが、2007年は新規加入の動きが収まり、伸び率が鈍化した。

W.Consumer Driven Health Plan(CDHP)の概要と動向
医療コストの抑制を図るため、近年企業がCDHP を導入しつつある。CDHP とは、Health Reimbursement Arrangement(HRA)やHealth Savings Account(HSA)といった、医療コストを賄うための勘定を、免責金額が高い健康保険プランと組み合わせたものであり、その加入者数は年々増加する傾向にある。CDHP を提供する健康保険会社の調査を通じて、CDHP 導入による医療コスト削減の効果や、CDHP 加入者の行動の傾向が明らかにされている。
本章ではCDHP導入企業の事例として、2006年にHSAを組み合わせたCDHPを導入したWal-Mart、および2007 年にHRAを組み合わせたCDHPを導入したMonster Worldwide の2 例を紹介している。さらに本章では、HSA の運営管理を行う銀行(またはその一事業部門)の事例として、大手健康保険会社UnitedHealth Group の傘下にあるOptumHealth Bank/OptumHealth Financial Services、およびWebster Bank の一事業部門であるHSA Bank の2 例を紹介している。

   
   
ドイツのディジーズ・マネジメント・プログラム
- 背景、施策、実施状況 -(PDF:532KB)
   
 

= 要 約 =
研究員 川端勇樹

   
 

T.本稿の対象と構成
本稿では、ドイツの慢性疾患の重症化予防プログラムについて、導入の背景、実施体制、実施内容について把握することを主な目的とする。同プログラムは、ディジーズ・マネジメント・プログラム(以下、DMP)と呼ばれており、公的医療保険者(疾病金庫)が運営主体である。ドイツではDMP 以外に、民間のディジーズ・マネジメント・サービス会社(以下、DM 会社)が独自で開発したプログラムを、疾病金庫あるいは民間医療保険会社と提携して提供しており、この提携動向およびプログラムの内容についても紹介する。最後に、政府機関や疾病金庫へのインタビューで明らかとなったDMP の現状と成果、問題点と課題について紹介する。

U.ドイツにおけるDMP の導入の背景、課題、関係者の議論
DMP は、人口高齢化および慢性疾患患者が増加する中で、家庭医を中心として医療供給者間の連携を推進することにより適切な慢性疾患の治療を提供することを目的として導入された。導入時には、DMP に対して医学界からは、導入に批判的な意見もあがった。

V.DMP の特徴と要素、関連する法律、運営主体のインセンティブと役割、実施の流れ
DMPは、まず、リスク構造調整に関する法令で定められたガイドラインに基づき、疾病金庫が実施主体としてプログラムの内容を定め、医療供給者とDMP 提供のために契約を締結して実施される。次に、治療では患者の主体的な参加が求められ、家庭医が患者との相談のうえで治療を進め、必要な場合は家庭医がコーディネーターとして他の医療機関への患者紹介を行う。民間企業は、法律上の制限があるため、データ管理などの役割にとどまっている。

W.DM 会社と医療保険会社の提携およびプログラムの内容
ドイツでは、DMP の対象疾患以外の疾患に関して、DM 会社が独自の重症化予防プログラムを開発し、疾病金庫あるいは民間医療保険会社と提携して、被保険者にプログラムを提供している事例がある。専門のDM 会社であるArztPartner almeda 社は、地区疾病金庫(AOK)などと提携し、うっ血(性)心不全の重症化予防プログラムなどを提供している。

X.DMP の現状および効果
DMP が導入されてから数年が経過し、登録患者数も増加傾向にある。インタビューなどで、現在ではDMP を評価する医師・患者が増加していることが確認されている。また、連邦政府や大学が行った評価からは、地区疾病金庫(AOK)が実施するDMP に関して、患者の健康、満足度、意識に改善の傾向がみられるとの結果がでている。

Y.DMP の問題点
疾病金庫および政府機関へのインタビューによると、患者リスクのスクリーニング、外来(開業医)と入院(病院)の連携、連携推進に役立つ事例の共有化、モニタリングや認可の体制に問題があると指摘されている。

   
 

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