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2008年10月31日発行 Vol.51

 

内 容 (PDFにて全文閲覧できます。)
 
  掲載論文:
 
  米国ヘルスケア分野における健康リスク評価のための予測モデルの活用
− その概要と背景、および米国アクチュアリー会2007年報告書の解説−




 
米国ヘルスケア分野における健康リスク評価のための予測モデルの活用
- その概要と背景、および米国アクチュアリー会2007年報告書の解説-(PDF:2.12MB)
   
 

= 要 約 =
主任研究員 矢倉尚典

   
 

はじめに
米国では、ディジーズ・マネジメントの取り組みを効率的に進めるために、対象集団の健康リスクを評価する予測モデルが盛んに活用されている。本誌第48 号では、ディジーズ・マネジメントにおいて健康リスクを評価する予測モデルが有効なツールとしてその評価が確立されていることを取り上げたが、ヘルスケア分野の様々な局面においてもこの予測モデルが活用され、様々な予測モデルが開発されている。米国アクチュアリー会は、ヘルスケア分野の様々な予測モデルを分析し、「健康リスク評価のための医療給付金請求データに基づくツールの比較分析」と題する報告書を2007 年に公表した。本稿ではこの報告書に拠ってヘルスケア分野において、健康リスクを評価する予測モデルがどのような点で有効か、実務に導入・使用するとすればどのような点に留意すべきかについて紹介する。

第一部
米国ヘルスケア分野における予測モデル活用の概要と背景
T.ディジーズ・マネジメントにおける予測モデルの活用
ディジーズ・マネジメントの実務運用における重要なポイントは、働きかけるべき対象者を適切に選び出して階層分けができているかということである。この課題に対する実用的な解決として、健康リスクを評価するための予測モデルがツールとして使用されている。

U.健康リスク評価のための予測モデルとはどんなものか
予測モデルは、一般的には、個々人の過去または現在の状態を表す数値を入力し、その個人の健康リスク(将来の状態)を予測した指標を計算する数理モデルである。米国の主要な予測モデルの一つであるImpact Pro を例に、予測モデルの基本的な仕組みと5 つの特徴を解説する。

V.予測モデル活用のその他の具体的事例
ディジーズ・マネジメント以外の米国ヘルスケア分野における予測モデル活用の具体的事例として、「保険料率設定、保険引受条件判断における活用」、「医療プロバイダーへの医療費支払額決定および医療の質の維持・向上における活用」、「連邦政府等から健康保険プランへの委託料決定における活用」の3 事例について、その背景を含め、説明する。

W.予測モデルの実務活用に向けた取り組み
予測モデルの実務活用に当たって個々のユーザーは、各自の活用目的に合わせて、数ある予測モデルの中から最も適当なものを選択することが必要となる。そのためには、予測モデルのもつ制限やその予測精度に影響を与える諸要因を認識することが重要である。予測モデルを実務に導入・使用しようとすればどのような点に留意すべきかについて、米国アクチュアリー会2007 年報告書を基に説明する。

第二部 予測モデルの比較検討および選択・導入時に考慮すべき諸点
T.分析対象の予測モデルの概要
米国アクチュアリー会2007 年報告書で分析対象とされた12 の予測モデルの概要について述べる。インプットデータの種類で分類すると、その内訳は、診断名に基づくモデルが4、処方薬剤に基づくモデルが3、診断名と処方薬剤の両方に基づくモデルが2、過去の期間のコストデータも用いるものが3 である。それぞれの予測モデルの開発経緯、特徴を簡単にまとめている。

U.比較評価のためのシナリオ設定
比較評価に当たっては、10 個のシナリオを設定している。シナリオを特徴付ける要素は次の5 つである。@「予測モデルを将来予測に使用するのか、当年の現状分析に使用するのか」、A「各予測モデルによるリスク・スコアの計算において、各予測モデルのソフトウェア付属のリスク・ウェイトを用いるのか、今回分析対象とした集団のデータセットに合わせて再調整したリスク・ウェイトを用いるのか」、B「データおよび予測のラグは想定するのか、しないのか」、C「過去の期間のコスト(例えば、前年の医療費コスト)を予測因子として加えてリスク・ウェイトを再調整するか、加えないか」、D「給付金請求金額を頭切りする水準の設定」。

V.予測精度を評価する尺度
各シナリオにおける予測モデルによる計算結果を比較するための尺度として、個々人レベルの予測精度の尺度と集団レベルの予測精度の尺度を設定した。米国アクチュアリー会2007 年報告書では、前者としては、決定係数と予測誤差の絶対値の平均を、後者としては、予測比率を使用している。

W.分析結果の概要
各シナリオにおける12 の予測モデルによる予測結果の比較に加え、シナリオ間の比較を行うことにより、各予測モデルの特徴を分析している。シナリオ間比較の視点としては、@将来予測に使用する場合は、現状分析に使用する場合に比べてどの程度予測のパフォーマンスが変化するか、Aリスク・ウェイトを調整すればパフォーマンスは改善するのか、Bデータのラグ・予測のラグがあるとパフォーマンスはどの程度低下するのか、C過去の期間のコストを予測因子として追加したらパフォーマンスが改善するか等である。併せて、集団レベルの予測の結果として、主要6 疾患別の予測比率、金額の大きさによるカテゴリー別の予測比率も比較し、各予測モデルの特徴を分析している。

X.今後の課題
予測モデルのパフォーマンスに影響を与える制限および要因として、リスク・ウェイトの調整、継続加入条件、データのラグ・予測のラグ、データの入手のしやすさ等を論じるとともに、予測モデルの導入において留意すべき諸点として、事前テストやデータハンドリングの経験、データの妥当性の確認、加入者資格データの鮮度、リスクスコアリングを行う時期および頻度について論じている。最後に、今後行われるべき有益な研究課題として、検査結果数値等をモデルに取り込んだ場合に予測のパフォーマンスがどの程度改善するのか、その可能性を分析すること等を含む9 つの課題を提示している。

   
 

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